2015/07/15

『サンセット大通り』7/5昼 1 柿澤ジョー、無防備な顔に色気がある

ノーマ/濱田めぐみ ジョー/柿澤勇人
マックス/鈴木綜馬
ベティ/夢咲ねね アーティ/水田航生
シェルドレイク/戸井勝海 セシル・B・デミル/浜畑賢吉

小原和彦 高原紳輔 戸室政勝 那須幸蔵 橋本好弘 ひのあらた
安福毅 若泉亮 彩橋みゆ 家塚敦子 石井亜早実 石井咲
木村晶子 栗山絵美 福麻むつ美

作曲 アンドリュー・ロイド=ウェバー
作詞・脚本 ドン・ブラック クリストファー・ハンプトン
演出 鈴木裕美
指揮 塩田明弘

冒頭から、中盤も、そして終盤もずっともの悲しさが漂うのね。音楽も、おお、ALW節というところがいたるところにあり、身をゆだねました。

今回Wキャストの安蘭ノーマ&平方ジョーを見ることができなかったのは、本当に残念。たぶん、安蘭さんのほうが過去の大女優らしさがより強そう。平方くんが、どういうジョーをつくったのかも見たかったです。冷たくする顔が見たかったな・・・

【柿ジョー】
詰めが甘いタイプ! ぎりぎりの決断時に、嫌われたくない、とか相手の気持ちを思いやってしまい、鬼になれないのだった。そして、誘惑にも弱く、一度知ってしまった優雅な暮らし♪は捨てられない。
分かるよ、分かるけど、決断すべき方向がいつも間違っている・・・

可愛くてちゃらっとしてて、出すときは色気がガーンと出てくる。セリフ時は男っぽくて、歌声は青年っぽいのね。あと、馬鹿っぽくも話せるし、ムカつくくらい色っぽいダメ男の声も出す。私、自分がカッキーより年上だからだと思うけど、これは年上キラー!とドキドキしながら拝見してました。
あたしが居てあげる、とか思いたくなる余地(隙)がたっぷり。こりゃ悪い子だよー。

ぱりっとしたタキシードに着替えたとき、私も若者を飾り立ててあげるマダムプレイしたい!と思った。何度もお金はたっぷりあるのーって言うノーマ、羨ましいよ。でも豪華に暮らすほど、心が荒んでいくのも見えて、きらびやかでモノガナシイ。

年越しの2人だけのお祝い、踊るときのはしゃいだノーマ怖い。キレイだけど怖かった。
束縛する権利はないだろう、と怒って出て行くジョー。若者たちの年越しパーティ会場へ行ってベティと再会し、彼女と脚本を書こうと決意してノーマ邸へかける電話で、ノーマが手首を切ったと聞かされ、慌てて邸宅へ戻る・・・ここスリリングだったわ。
そういえば、新年になった瞬間に蛍の光歌ってたよね? 勝手に哀しい気分になっちゃった(日本人だから)

平方くんは、どうやってノーマと男/女になったのかしら?? 
カッキーは雰囲気に流れされちゃう子なんだなっていうのが良く出てて、かつ、セクシーでした。がっとノーマを跨いだわ!跨いだー!
どちらかというと、ノーマの気持ちで見てるから、ノーマと一緒に動揺した。

売れない脚本家ってのが肝だな。ノーマとジョーは、流行りっぽく言うと認証欲求を満たしあう者同士なので、ジョーは脚本家として自分を使ってくれたノーマに借りがあるって思ってる。ノーマはもちろん、全部愛されたい大スターだけど、マックスは肝心な恋人からは降りてしまった人だから、ジョーが必要。

最初の出会いのあたりかな、誕生日いつ?ってノーマに聞かれて、12月○○日だよって答えた声が、静かで(意味がこもってない言い方、ぶっきらぼうともちがう)良かった・・・良かったんだよ。と、手帳に書きなぐってます。

ラストの、ノーマに言ってあげるセリフも良かった。50歳なのに25歳の振りをしなきゃ、(アナタは素敵なのに)ていう。それをノーマが受け入れられたら、新しい仕事もできるかもしれないし、ジョーとももっといい関係が生まれるかもしれないけど、ノーマには出来なかった。
その年のままでも素敵だって、セリフにはハッキリなかったと思うんだけど、言いたかったのはそういう意味があったと思う。言い聞かせるみたいに、優しく、哀しげに言ってた。そして撃たれてしまった。

蜘蛛の巣にかかった獲物でもあったし、ノーマに再び夢を見せてくれもしたジョー。

冒頭に戻る構成も、哀しい物語を分かりやすく作ってました。

カッキー、セリフの言い方がそっけないのねー。イントネーションの起伏が少なめというか。それがまた若者っぽいし、食えないヤツな雰囲気が出て、夢があるのに一途になりきれない(お金がないって本当につらいわ!貧すれば鈍す)
ある意味、凡人の弱さと恋人としての魅力がいい具合に混ざったジョーになっていたと思う。

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